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ヤッホーブルーイングのマーケティングトレース

こんにちは。dot2dotの井手でございます。

今回は前回頭出しさせていただいた、「ヤッホーブルーイング」のマーケティングトレースをご紹介させていただきます。

「マーケティングトレース」とは前回も記載いたしましたが、企業のマーケティング活動の跡をなぞる事です。見聞きしたビジネスのマーケティング戦略を「勝手に想像して、フレームワークに落とし込み、何が成功要因(または失敗要因)だったのかを理解する」を繰り返すトレーニングになります。

【ヤッホーブルーイングのケース】ビール好きな方はご存知かと思いますが、ヤッホーブルーイングは「よなよなエール」や「水曜日のネコ」などクラフトビール、所謂「地ビール」を国内で製造している企業です。実際に飲んだことある方も多いのではないでしょうか?https://yohobrewing.com/

ホームページ上でも記載がありますが、ヤッホーブルーイングは主力製品「よなよなエール」を立ち上げてから地ビールブームもあいまって売上的にも幸先良いスタートを切ります。しかし、地ビールブームがわずか3年ほどで終わると、そこから8年連続赤字という厳しい時代を迎えるのです。その後、ヤッホーブルーイングはV字回復を達成、なんと13年連続増収増益を続けています。今回マーケティングトレースで着目するのはこのタイミングです。急に商品が大きく変わったわけでも(もちろん品質改善は続けていたそうですが)、再度地ビールブームの再来があったわけでもなく、このV字回復は主にマーケティング活動の賜物です。

それでは実際のマーケティング活動を見る前に、ビール市場全体から見ていきましょう。ビール業界の国内市場を見てみると、大手4社が市場の99%のシェアを持っており、ほぼ付け入る隙はありません。また、国内ビール市場は14年連続で減少し続けており、国内メーカーは昨今海外M&Aを加速させながら、レッドオーシャンで戦っています。ヤッホーブルーイングはその中でなんと業界6位に位置しており、主戦場を大手とは違う場所に設定しながら、独自の存在感を放っています。ニッチなバトルフィールドに設定したことも大きいようです。

【万人受けよりも、一人の熱狂】マーケティングというと、どうしても商品開発後の活動をイメージしがちですが、実はヤッホーブルーイングでは商品開発においても、素敵なマーケティングを行っています。例えば「僕ビール、君ビール。裏庭インベーダー」。普通にマーケティング観点で考えてもこのユニークすぎる名前は絶対でてきません 笑。

ペルソナを30歳前後の男性に設定していますが、正直「裏庭」も「インベーダー」も刺さるものではありません。(インベーダーゲームは今の60代前後の世代ですし・・)しかし、ヤッホーブルーイングは「いま存在しないもののニーズは、誰にも判断できない。だからこそ、やってみよう」という発想でエッジのとがった商品をユニークな名前で次々と展開しています。

ヤッホーブルーイングは万人受けする商品よりも、一人が熱狂できる商品を展開し、それがわかる人にはわかればいいというマーケティングを実施しているのです。たしかに、「キレがあって、のど越しも良くて、味わい深くて・・・」と万人に受ける味にしていたら、大手4社がしのぎを削っているレッドオーシャンに自らつっこみに行くようなものです。通常商品開発では、メインターゲット(ここでいう30代男性)のほとんどがポジティブな反応を答えてくれる正解を探します。しかし、ヤッホーブルーイングでは、ネガティブな反応があったとしてもたった一人の「こんな美味しいビールに出会ったことない!!」を優先させます。レッドオーシャンとされるビール市場でここまで業績が伸ばせるのも、チームが一丸となって、この熱狂的なファンを探り続けていく文化が浸透しているからなのです。

【熱狂的なファン】どの事業においても、熱狂的なファン=ロイヤルカスタマー/エヴァンジェリストが成長のカギです。なぜならば、提供している商品やサービスに圧倒的に共感してもらいやすく、また周囲に価値を広めてもらえる可能性が高いからです。マーケティング用語でいくと、Frequency(頻度)が高く、 Recency(最後の購買からの経過時間)が短い顧客が一番価値が高いという定義になります。ヤッホーブルーイングが成功している要因はこのロイヤルカスタマー/エヴァンジェリストの育成を商品開発のタイミングから意識しているからだと言えます。

【ファンマーケティング】しかし、事業としては一人の熱狂的ファンだけでは売り上げにならず、絶対的に足りません。そこでヤッホーブルーイングはこの「一人の熱狂的ファン」の熱量を伝播させる仕組みを構築します。それが「宴」と呼ばれるイベントです。最近では「超宴」と称し、2日間で約4,000名ものファンを集めます。申込の平均人数が3名前後らしいので、1,000〜1,500名の熱狂的なお客様が2〜3名のポテンシャルカスタマーを呼んできた形になります。2010年初回では参加者40名弱だった宴もわずか8年で100倍にまでファンが増えました。もちろんネット販売に早期から取り組んできていたことも成功要因の一つではありますが、戦略的にファンを広げていった結果、ヤッホーブルーイングは成功できたのです。

【ファンマーケティングの難しさ】さて、良いところばかりを列挙いたしましたが、ファンマーケティングにも実施の難しさがあります。私の見解としては大きく2つあります。1つはファンの育成に非常に時間がかかる事。2つ目は継続の難しさです。冒頭でご紹介した通り、ヤッホーブルーイングも熱狂的なファンを今の規模まで育てていくのに相当時間がかかりました。もちろんビジネスに近道はないのですが、目先の市場獲得に目がくらむと、あっという間にファンマーケティングは崩壊してしまいます。裏話でよく記事にもでていますが、実際はこの「超宴」イベントは1回数千万の赤字がでているそうです。それにも拘わらず継続しているのは、ファンに熱狂し続けてもらいたいが故。結果的にロイヤルカスタマーとなり、継続的に商品を買ってくれる方に舵を取っているのです。時間がかかるが故に、組織として全チームが同じ方向に常に向き続ける必要があります。チームが忍耐強く、そして社員がミッションに熱狂的でなければ絶対成功しません。

2つ目の継続の難しさですが、ロイヤルカスタマーを常にその状態にさせていくには非常に労力がかかります。熱狂的なファンであるが故にブランドの影響力が良くも悪くも大きいという事です。ナイキのエアマックスなどがその代表的な例ですが、例えば熱狂的なエアマックスファンが限定エアマックスを手に入れたいのに、転売屋に取られると、怒りの矛先を転売屋ではなく、ブランドその物に向けてしまうという事です。すると、小さな綻びから、いとも簡単にロイヤルカスタマーが離れていきます。一度ロイヤルカスタマーが離れると、再度戻すには今迄かけてきた以上の時間と労力が必要になります。ですので、緻密に、戦略性をもって、ファンが離れないように継続する必要があるわけです。言うがやすしですが、マーケティング活動で一貫性を持つことは非常に難易度が高いことなのです。ロイヤルカスタマーの影響力を侮ってはいけません。

さて、いかがでしたでしょうか?身近なモノからマーケティングを深ぼると新しいアイディアや手法のヒントを得られる事ができます。自分が気になる商品やサービスから手始めにマーケティングトレースを始めてみてはいかがでしょうか?

歯┃科┃2┃.┃0┃セ┃ミ┃ナ┃—┃
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札幌:2019年10月20日(日)13時〜16時:TKP札幌駅南口カンファレンスセンター ミーティングルーム3B
金沢:2019年11月4日(月祝)13時〜16時:地場産業振興センター第8会議室
名古屋:2019年12月15日(日)13時〜16時:安保ホール101号室

申し込みは下記URLよりご応募下さい
https://www.d2d-seminar.com/

歯┃科┃2┃.┃0┃サ┃ミ┃ッ┃ト┃
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dot2dotが掲げる「日本の歯科医療をボーダーレスに」「日本の歯科医療を世界へ」。そういった想いに賛同して頂いた、各専門分野のプロフェッショナルが、dot2dotのフェローとして1日限りで結集し討論する歯科サミット。

日程:2020年1月26日(日)
時間:10時〜16時(9時30分)
会場:フクラシア丸の内オアゾ(東京駅直結)
住所:東京都千代田区丸の内1-6-5 丸の内北口ビルディング16階
費用:歯科医師&コデンタル 32,400円、技工士&衛生士 21,800円、学生10,800円
※お申込み開始日:9月2日(月)

歯┃科┃2┃.┃0┃実┃践┃セ┃ミ┃ナ┃—┃
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時間:土曜日「10時〜18時」、日曜日「9時〜16時」
会場:フクラシア丸の内オアゾ(東京駅直結)
住所:東京都千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル6階
費用:600,000円(税別)
※お申込み開始日:9月2日(月)

D.┃M.┃R.┃研┃究┃所┃
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日本の歯科の未来はどうなっていくのか?VUCA 時代を生き抜くため、デジタルやIT技術を活用したイノベーション経営はどのような経営方法なのか?DMR研究所というサロンは、そんな歯科における展望を本気で考え、志ある方々と共に、自由に議論を交わしながら、新しい価値を創造していく場です。

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住所:東京都千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル2階
費用:3,000円(軽食とお酒をご用意しております)
申込:事前申し込みはありません。当日お気軽にお越し下さい

d┃2┃d┃フ┃ェ┃ロ┃—┃
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岩崎 智幸:Studio IMO Photographer(写真撮影)
岩野 義弘:岩野歯科クリニック 院長(歯周病)
大石 洋平:北上尾歯科 院長(経営)
木戸 淳太:つきやま歯科医院専門医療センター天神 副院長(補綴・治療計画)
辻本 真規:辻本デンタルオフィス 院長(歯内療法)
蓮池 聡:日本大学歯学部 助教(EBM)
松丸 悠一:コンフォートデンタルクリニック(総義歯)
丸尾 勝一郎:三軒茶屋マルオ歯科 院長(デジタル)
峯崎 稔久:ZAHN DENTAL LABORATORY 代表(歯科技工士 クラウン)
宮越 悠輔:株式会社dot2dot 代表取締役社長(経営)
森田 久美子:大川歯科医院(歯科衛生士)
※リリース日:9月2日(月)

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